『HYBRID UNIVERSE』


HYBRID UNIVERSE(DVD付)


名盤といわれた前作「ALIVE & KICKING」がリリースされたのは平成16年の秋。
その後、2度の武道館公演を成功させ、「ETERNAL BLAZE」がオリコン初登場2位になるなど、
奈々さんは輝かしい実績を作ってきました。
そして、前作から1年半、ついにニューアルバムがリリースされました。


まず一通り聴いた印象。「奈々さん上手くなってる……」
と言うと、奈々さんは元々上手いじゃないか、というツッコミが入るわけですが。
確かに奈々さんは元から上手いです。声量・技術とも素晴らしい。
今回のアルバムで大きく違うと感じたのは、「力加減」なのです。
前作までは持っている声量・技術を「常に」最大限駆使して歌っていたように感じます。
ところが、今回はいい感じで力が抜けているというか、余裕を持って歌ってる感じがします。
これによって、今まで潰れていた細かいニュアンスを感じ取れるようになりました。
例えば「You have a dream」の弾むボーカル、そして「星空と月と花火の下」のサビの切なさ!
そして余力があるからこそ、最強音でも決してがなることなく歌い切れています。
「PRIMAL AFFECTION」など全力疾走してるのですが、最後まで息切れしてません。


以前東京ドームにMISIAを見に入った時なにが凄かったかというと、その歌唱力もさることながら、
どれだけ歌ってもこの人には限界がないんじゃないかと思わせるほどの余裕だったのですが、
奈々さんももしかしたらその域にほんの少しだけ近付いたのかもしれません。


今回のアルバムの感想を2chで見て、「前のほうが勢いがあった」という趣旨の書き込みが
少なからずあったのですが、確かに勢いとか若さという点では落ちたように感じるかもしれません。
それでも、奈々さんの歌という点に関して言えば、前作までとは比べ物にならないほどの
高みに達していると筆者は思います。


曲について、矢吹氏の曲が1曲しかないことで少なからず不安だったのですが、
今回に関しては(Elements Garden中心の起用は)成功してると思います。
後半の曲が今ひとつという感想がよくあるようですが、曲のバリエーションとしては
むしろ前半より揃ってますし、自作曲の「Violetta」も言われているほど悪くなく、
上手くピースとして嵌っていると思います。
ただ、それでも前半のインパクトが強いのは確かで、「残光のガイア」「Faith」の濃さは堪りません。


今回のアルバムでは奈々さんの1年半での成長を大いに感じ取ることができました。
気になるのは、今後もエレガ中心になっていくのか、矢吹氏メインに戻るのか、
はたまた別の人かというところですが、筆者としては奈々さんのいろいろな面を引き出すとため
新しい人これまでの人問わず、いろいろな人に曲を書いてほしいと思ってます。
ただ、矢吹氏がいなくなるとチェリーボーイズまで代わってしまいそうなので、
少なくとも矢吹氏にはなんらかの形でも関わってほしいものです。


最後にオリコン3位おめでとうございます!>奈々さん