「Pure-AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTICS」

Pure-AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTICS-
アニメ・ゲームのアレンジアルバムながら、ソニー・オーディオ事業本部のかないまること金井隆氏もクオリティの高さを認めているアルバム。筆者も遅ればせながら存在を知り、聴いてみました。
CDとSACDハイブリッドが出ているのですが、筆者が購入したのはSACDのほうです。再生環境はPS3→(HDMI)→REGZA H3000→アンプ→ヘッドホン。間にテレビを通してるので、お世辞にもいい環境とは言えませんね。
内容としては「うたわれるもの」「To Heart」など、アクアプラス(リーフ)のBGMをアコースティックアレンジしたもの。アレンジは奈々さんでお馴染みの「Elements Garden」。エレガというと奈々ファンには悪く言えばゴチャッとして、かつ録音が悪いイメージがあるかと思いますが、ここでは音数を極力減らすことで、楽器の美しさを存分に堪能させてくれます。そして、なんといっても録音の素晴らしさ!SACD層での彫りの深さは今までのどのCDでも体験できなかったものです。
ボーカル曲が4曲あっていずれもSuaraさんが歌ってるのですが、このボーカルがまたおそろしく良いです。息遣いまでも余すところなく生々しいまでに捉えており、Suaraさんの声の美しさもあって聴いていてため息が出るほどです。
内容自体元のゲームを知らなくても十分楽しめるので手元に備えて損のない一枚だと思います。そして買うなら迷うことなくSACDハイブリッド盤にするべきです。再生装置がなくてもCD層を聴くことはできますし、将来ステップアップする楽しみがあるからです。
SACDというメディアは商売という点では決して成功したとは言えません。レコードがCDに変わったときのように利便性が向上したわけでなく、ただ音質が向上したというだけでは訴求力が弱かったのでしょう。何より音楽がそれほどの高音質を求めていなかったのです。もっとも比較的録音や音質にこだわる人が多いクラシック業界ではメインストリームではないものの、それなりに支持を集めていました。
アニソンもまた録音やオーディオ機器にこだわりを持つ人が多いジャンルです。しかし、クラシックと違ってアニソンで録音が優れたCDというのは滅多になく、いわんやSACDをやといった状況が続いていました。そんな中でリリースされたこのCDが支持されたのも当然と言えましょう。これをきっかけに、録音にこだわったCDが多く登場することを願ってやみません。