『Trickster』

Trickster
1.Trickster
最初に聴いて「なんだこの録音」と面食らいました。前作のように割れまくっているわけではないのですが、とんでもなく硬質。音の拡がりも全くといっていいほど無く、モノラル時代のブルーノートを聴くようでした。曲調がハードなのである程度狙ったんだとは思いますが、肝心の奈々さんの声の良さまでスポイルしており正直やりすぎだと思います。
曲自体は直球のハードロックで個人的にはかなり好み。奈々さんの本領はガールポップだと思いますが、この曲とか「Bring it on!」のようなヘヴィな曲もハマるので、もっとこの路線が増えてもいいんじゃないかなぁと。欲を言えば、もっとボーカルに荒々しさや鋭さがあっても良かった気がします(これは録音のせいかもしれませんが)。となるとこれはライブに期待大。チェリボを両脇に従えたキレキレの奈々さんが見られるのが今から楽しみでなりません。
2.DISCOTHEQUE
タイトル通り80年代テイストのダンスナンバー。「ちゅーるちゅーるちゅるぱーやっぱー」のコーラスといかにもなブラスが妙に癖になります。好き嫌いが分かれる曲でしょうが、筆者的にはけっこうアリ。奈々さんのボーカルはちょっと色をつけすぎな感もありますが、キュートで魅力的なのは確かです。ところで、以前タモリ倶楽部山田五郎教授も言ってたんですが、このコーラスの「ぱやぱ」というのはどっから来たんですかねぇ?
3.Trinity Cross
千代丸曲にしては平凡。確かに綺麗な曲に聴こえるので、巷でこの曲の評価が高いのも理解はできるのですが……その綺麗さが過ぎるゆえに心に引っかからずに流れていってしまうのが残念でなりません。
3曲ともそれぞれ良さはあるのですが、どれも何かが足りないという点でちょっともったいないと感じました。2のような新しいテイストを入れていくのも悪くないとは思いますが、奈々さんの場合完成したスタイルがあるのですから、そこを突き詰めて行って欲しい気がします。名実ともにトップにいるというプレッシャーもあるのかなと思いますが、次回はぜひ直球勝負で打ちのめしてくれることを期待したいです。