ダイナで奈々さんとみのりんを試聴

こないだからオーディオ機器の買い換えの話をさんざん書いてますが、やはり実際聴いてみなければということで、同じくリプレイス検討中のよっしー氏と秋葉原に行ってきました。
今回使用したCDは次の4枚(括弧内は使用したトラック)。
Bill Evans「Waltz For Debby」(T1:My Foolish Heart)
坂本真綾「少年アリス」(T3:スクラップ〜別れの詩)
水樹奈々GREAT ACTIVITY」(T2:Orchestral Fantasia)
茅原実里「Contact」(T1〜T2:Contact〜詩人の旅)
今回お邪魔したのはかの有名なダイナミックオーディオです。まず、神田明神下交差点にあるサウンドハウスへ。1階にPMCのFB1の中古があるのを確認しつつ、上の階へ。途中でJBLのエベレストの大きさに唖然としながら最上階(7階)へたどり着くと、そこにはVIENNA ACOUSTICSのT-3GBがあったので早速試聴しました。
・VIENNA ACOUSTICS T-3GB(CDP&AMP不詳)
まずエヴァンス。聴き所の一つがポール・モチアンがドラムをブラシでこする音なのですが……ブラシうるせーorz シャリシャリとかなり耳障り。はてと首を傾げつつ真綾さんに変えたのですが、これもまたひどい。シャリシャリなのはもちろん、ボーカルに変な付帯音が付き、極めつけは高音と低音がバラバラ。
・PMC FB1(中古・CDP:DENON&AMP:Macintosh<型番不詳>)
ウィアコはないなーと思いつつ1階へ戻り、先ほど見たPMCのFB1を試聴。今回もエヴァンスから。ちゃんと本来の?音がして一安心。同様に真綾さんも聴き、PMCの素性の良さを確認しました。ただ、3月に大阪でGB1iを聴いたときほど低音にインパクトを感じませんでしたが、この時は3月の印象が強すぎただけだと思ってました。
B&W 804S(CDP&:同上)
他のも聴いてみようということで、一緒に陳列されていたB&Wみのりんをかけてもらいました。これは奥行きがものすごく出てました。スケールが大きく聴き映えがするので、これだけ聴けば悪くないのですが、本来の音とは違う感じも。好きな人は好きな音かもしれません。
・PMC FB1(CDP&:同上)
再度PMCに戻して、同じみのりんを聴いてみました。ボーカルの存在感がB&Wと全然違います。好みは人それぞれとしても、本来の音は明らかにPMCだと感じます。納得しつつソフトを奈々さんに。ボーカルがめがっさエロい! こんなに艶っぽい奈々さんの声は初めてで、これは嬉しい発見でした。
サウンドハウスを後にして、隣にある5555へ。昨年末のタモリ倶楽部でも紹介されたタモリさんとコブクロの二人の行きつけで、スパルタンXのように上の階に行くほどグレードと価格が上がっていくオーディオマニアには有名なショップです。まず2階にPMCのGB1iとSOULNOTEを発見しましたが、店員さんがいなかったので後回し。5階にウィアコのT-2GとSonus FaberのGrand Piano Domusがあったのでこれを聴かせてもらうことにしました。
・Sonus Faber Grand Piano Domus
(CDP:ESOTERIC SA-10&AMP:Luxman
ソフトは奈々さんを使用しました。見た目と名前のイメージから繊細な音をイメージしていたのですが、重戦車を思わせる再生音に唖然。低音から何からバリバリ鳴ります。確かにいい音ではあります。ただ、この暴れ馬のようなスピーカーを自宅に持って帰って使いこなすのは正直無理です。特にボンボン迫る低音の制御など出来るわけありません。あくまで専用の広いスペースがある人向けのスピーカーなのだと思います。
・VIENNA ACOUSTICS T-2G(CDP&AMP:同上)
ソフトは同じく奈々さん。上位機種のT-3GBがダメダメだったのでこれはもっとダメかと思いきや、T-3GBよりはマシでした。ウーファーが一つ少ない分音のまとまりはT-2Gの方が上です。ただ、相変わらず高音はダメです。風呂屋のような音がします。これでウィアコは完全に選択肢から消えました。
・PMC GB1i(CDP:SOULNOTE cd1.0&AMP:SOULNOTE da1.0)
2階に戻ると店員さんが戻ってきていたので早速上記組み合わせを試させてもらいました。まず奈々さん。虚飾のない切れ切れの音がします。続いてみのりん。これも同様に、ただボーカルがちょっときつく、聴き疲れのする印象。切れ味は良いのでこれも一つの方向性かなくらいに思ったのですが、店員さんがかけてくれたカーペンターズを聴いてるうちに一つの疑問が。そしてその疑問を解消するため、エヴァンスをかけてもらいました。……こんなリアルな音聴いたことない……。後ろに入っている店内のざわめきとか客の咳の音があたかも自分がライブハウスにいるかのように聴こえるのです。そしてモチアンのブラシの生々しさといったら! ブラシでドラムの皮をこする様が見えるかのよう。疑問というのはウィアコのようにシャリシャリな組み合わせじゃないかということだったのですが、エヴァンスを聴く限りそんなことは全くありません。
さらに驚いたのはこの後聴かせてもらったクラシック。ヴァイオリンの色っぽさはあたかも小ホールの最前列中央で聴いているかのよう。チャイコフスキーのピアノ協奏曲では立ち上がりの速さに驚愕。ティンパニ強打の低音の迫力と締まりは大阪で初めて聴いたときのあのインパクトが甦りました。スピード感のある締まった低音がブンブン鳴る様は聴いていて快感。ピアノもリアルさを追求したような音ながらペンペンとは鳴らず、しっかり音楽性を保っています。モーツアルトのフルートとハープのための協奏曲ではフルートの息遣いとハープの指遣いが見えるかのよう。
ここで聴き疲れを全くしていないことに気付き、ようやく解りました。奈々さんにしてもみのりんにしてもあまりに録音が悪いのだと。このGB1iとSOULNOTEのシステムは録音の善し悪しを冷徹なまでに描き出します。それゆえに録音のアラが多い奈々さんやみのりんは聴くと疲れてしまうように感じるのでしょう。
そういう意味ではサウンドハウスで聴いたFB1とDENONMacintoshのシステムは奈々さんを聴くには出色ではありました。しかし、DENONにしてもMacintoshにしても高価ですし、システムをそのまま家に持ってきて同じように鳴るとも思えません。その点GB1iとSOULNOTEのシステムは、そのコンパクトさゆえに自宅でも同じ音が鳴ってくれるような印象があります。そして何よりソフトを片っ端から聴いてみたくなるシステムなのです。特にこれでライブDVDを見たらどれだけ凄いのかと思わせてくれます。確かに奈々さんやみのりんの録音にはシビアですが、自宅では音量を絞るのでそれほど気にならないかもしれません。好き嫌いはあるでしょうが、音楽が好きな人には絶対聴いて欲しいシステムです。
それにしてもこの日聴いた中で一番安価なシステムが一番音が良かったわけで、オーディオはつくづく奥が深いです。良い経験をした一日でした。